永青文庫’23初夏 細川家の茶道具~千利休と細川三斎

2023年7月9日
文京区・永青文庫へ伺ってきました。

永青文庫は細川藤孝(幽斎)から続く
細川家に伝来する歴史資料や美術品の文化財が公開されております。

細川家の茶道具 ―千利休と細川三斎―

 わび茶の大成者・千利休(1522~1591)は多くの武将と交流し、茶の湯を指南しました。細川家とも関わりが深く、初代藤孝(ふじたか)(幽斎〈ゆうさい〉、1534~1610)より親交を結び、「利休七哲」の一人に数えられる2 代忠興(ただおき)(三斎〈さんさい〉、1563~1645)は、高弟として利休のわび茶を継承しました。以降、細川家では茶の湯が嗜まれ、永青文庫には大名家伝来の様々な茶道具が所蔵されています。

 本展では、千利休が所持していた「唐物尻膨茶入 利休尻ふくら」や「瓢花入 銘 顔回」をはじめ、利休と細川三斎ゆかりの名品を中心に、細川家に伝わる茶道具の数々を展覧。近現代の細川家四代(16代護立〈もりたつ〉、17代護貞〈もりさだ〉、当代護熙〈もりひろ〉、護光〈もりみつ〉)が手掛けた茶碗なども紹介し、代々継承されてきた茶の美意識に迫ります。

 さらに、2021年に発見された、武将茶人・古田織部(ふるたおりべ)(1544~1615)から細川三斎に宛てた貴重な手紙を初公開するほか、今年は細川家にゆかりの深い沢庵宗彭(たくあんそうほう)(1573~1645)の生誕450年にあたることから、沢庵の墨蹟を特別に展示します。

永青文庫公式サイトより

前回の展覧会はこちら↓

展示品について

全館写真撮影禁止だったので
資料集より抜粋して載せます。

細川幽斎(藤孝)像

『茶杓 無銘』

細川藤孝(以下、幽斎)作

茶杓(ちゃしゃく)は、主に日本の茶道に使用される道具で、抹茶を茶碗に移すために使われます。素材は主に竹で作られ、その形状は長い柄の先端が湾曲した形状をしています。この特性的な形状は、粉末状の抹茶を碗に移しやすくするためのものです。

茶杓の長さや形状、装飾などは、その使用目的や茶道の流派、季節などによって異なります。また、茶道では、茶杓の取り扱い方や置き方なども非常に重要で、精神性や礼儀作法を表す一部となっています。

一般的な茶杓は竹を使って手作りされますが、歴史的には金属や陶器、さらには貝殻などを使ったものも存在しました。装飾や彫刻が施されることもありますが、茶道の精神を反映して、シンプルで洗練されたデザインが一般的です。

細川三斎(忠興)像

忠興(以下、三斎)は文武両道の武将で
千利休の高弟『利休七哲』の一人として利休の茶を継承しました。

こちらの肖像画には、乾英宗の賛が描かれています。

竹二重切花入

細川三斎作

茶道における花入は、茶室に飾られる花を入れるための器で、素材や形状は多種多様です。特に、自然の素材である竹は茶道の精神を象徴し、その自然美とシンプルさが好まれます。

竹は強度と柔軟性を兼ね備えているため、様々な形状の花入に加工できます。季節や茶事のテーマに合わせて選ばれるため、一つ一つの花入は、茶室の空間や雰囲気を繊細に彩ります。

『茶杓 銘 ゆがみ』

千利休作
確かに茶杓がゆがんでますね。

唐物尻膨茶入 利休尻ふくら

重要美術品

天正15年(1587)秀吉による北野大茶湯で用いたと言われています。
後に三斎が、関ヶ原合戦の軍功として拝領したそうです。

瓢花入 銘 顔回

千利休作 顔回は『がんかい』と読みます。
利休の添状つき。

こちらも花入になるそうです。
のちに細川家の家老・松井家に伝わり
元文3年(1738)松井豊之(1704~71)より七代宗孝むねたか(1718~47)に献上されています。

呼継茶碗

呼継茶碗(よびつぎちゃわん)とは
 一つの器に、形の近い別な器をくっつけて、継ぎはぎして修復する技法です。

一見つぎはぎのように見えますが、
しっかりくっついており茶碗の形をしています。

茶入茶碗写真帖

茶入茶碗写真帖(ちゃいれちゃわんしゃしんじょう)は
細川家とその家臣所蔵の茶入142点
茶碗70点を写し描いた画帖です。

「花伝書抜書」紙背文書

古田織部(重然=しげなり)が
長岡(細川)忠興宛てに送った書状です。

紙が高級品だった時代がゆえのリサイクル方法だったんですね。

宗円宛 沢庵宗彭書状

沢庵が千利休の娘婿・宗円に宛てた、
一昨日の茶会で世話になったことへの慰労状のようです。

まとめ

千利休から細川家に伝わる、貴重な美術品の数々をとても興味深く拝見しました。

意外だったのは沢庵宗彭と細川家の関り。
特に三代忠利の時代、宮本武蔵を客分として招き入れたことは有名ですが
忠利の肖像画に沢庵の賛が書かれていることは初めて知りました。

それだけ深く帰依していたということなんですねえ。
歴史の新しい顔を見て、知的好奇心が満たされた一日でした。

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