2020年11月7日
池袋演芸場で行われた「落語芸術協会真打披露興行」へ行って参りました。
昔昔亭A太郎さん、瀧川鯉八さん、桂伸衛門さんのお三方が昇進。
元々は5月1日から開催の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期。
10月11日より新宿末広亭を皮切りに興行が行われております。
演目
瀧川どっと鯉 狸賽
桂宮治 たらちね
桧山うめ吉 俗曲
神田伯山 鼓ヶ滝
瀧川鯉昇 茶の湯
丸一 小助・小時 太神楽
昔昔亭桃太郎 漫談
春風亭昇太 時そば
~仲入り~
披露口上
昔昔亭A太郎 紙入れ
瀧川鯉八 おちよさん
桂伸治 ちりとてちん
林家今丸 紙切り
桂伸衛門 竹の水仙
宮治さん・たらちね
当日主任・伸衛門さんの弟弟子である宮治さん。
ご自身も2021年2月11日に真打へ昇進されます。
伸衛門さんが高座に上がった際、盛り上げ方についての練習が。
「もっと盛り上げて!」と煽る姿は「伯山ティービィー」で観た宮治さんでした。
たらちねは古典ですが、宮治さんの工夫でいろいろぶっ飛んだ話に。
・妻(さい)をもらう気はないか?じゃあ大家さんのおかみさんはカバだ!
・紹介された際、「きず」を袈裟懸けに斬られていると勘違いする
・会話に「にゃん」がついている
そして口上で言われた長い名前を、
「寿限無君と同じ恐怖」と言い放ったセンスですよ(;’∀’)
伯山さん・鼓ヶ滝
前座時代、よく伸衛門さんに怒られたという伯山さん。
ある日終演後池袋から浅草へ行く事に。
行きつけのお寿司屋さん(時価=玉子も時価)
→行きつけのバーへ。抱かれるんじゃないかと感じたそうです。
そして某店に行った際いい女性が出てきたので、
肘を打ちながら「やったじゃ~ん」と言っていたのが今回の副題です。
鼓ヶ滝は愛山先生直伝。「講談は、死にそうになると…人家がある」
和歌三神に歌を直されそうにになった際の「はーっ?」という、いかにも不機嫌な顔が今でも忘れられません(;’∀’)
じじい・ばばあに歌を直され、更に「出たな孫娘!」
最終的に全体を直されてしまう西行でした。
鯉昇さん・茶の湯
落語家生活は長いので「無理しない」という鯉昇師匠。
最近トリの餌を食べているので、演芸場への道中少し飛べた!?
さだきちとお茶の栽培…もとい茶の湯をする事になったご隠居。
お茶のやり方が全体的にモヤモヤしているので、材料も適当に。
青きなこ・緑の絵の具・洗剤を混ぜたものを1日5杯飲み、体調を崩す二人でした(;’∀’)
桃太郎さん・漫談
口上も27日目。
毎日来ているお客さんもおり、少しずつ内容を変えなければならないそうです。
もっと大きいホールを借りて1度にできないものかとぼやいておりました。
落語は何とかできるけど、口上が…とも(;’∀’)
神社・墓参りに行った際はすぐに帰るのではなく、30分ほど滞在した方がいいとか。
御神木から「気」をもらえるそうです。
落語に入るタイミングを失い、
石原裕次郎の「男の友情背番号3」と「嵐を呼ぶ男」を熱唱されておりました。
昇太さん・時そば
1列目を潰した以外満員の客席に、会長として喜んでおられました。
ホール落語は客席半分以上から利益が出るそうで、以前は50%以下じゃないと公演ができませんでした。芸人さんも歯を食いしばりながら興行してたんですね…
土曜日は笑点の収録日。
この日も収録語の高座だったそうです。
リモートの笑点は大混乱。なおかつ昇太師匠の司会は誰も言う事を聞いてくれない。
唯一番組の後輩である三平さんは…(;’∀’)
昇太師匠の時そばは上方の型。
噂では聞いていたのですが、生で初めて聴くことができました。
兄貴分と弟分の二人でそば屋へ行きます。
「ひっぱりな!」→「ひっぱるな!」何かこれだけで面白い。
1文かすめたのを説明する際、勘定が合わないので「兄貴!俺の指が…」とうろたえます。
やっと理解した弟分は「やったじゃ~ん」
弟分は翌日一人でそば屋へ。
前日の再現をしようとして一人二役の棒読みの会話をしたら、店主に怖がられておりました。
食べ終わったどんぶりに対し、お祓いしなきゃ…ともw
仲入り
披露口上
下手から
鯉昇 鯉八 伸衛門 伸治 A太郎 桃太郎
・鯉昇
7番目の弟子なので「鯉八」と名付けた!?
自身の体験を基に新作を作っている。
開眼、上手くなってきたのがちょうど一昨日の夜だったそうです。
・伸治
真面目でそつなくこなす伸衛門さん。
右団治さんが昇進時の先代文治師匠のエピソードを披露して頂きました。
自分で言ってる事とやってることが全く違っていたそうで、「抜けている」方なだとか。
そういう考え方もできるのですね。
伸衛門さんが軽く、陽気になって来たのが一昨日の夜だそうです。
・桃太郎
駒沢大学でフットボールをされていたA太郎さん。野球をやっていたらもっとモテていた!?
こちらも格段に上達したのが一昨日の夜だそうです。
A太郎さんは、先代円楽師匠のタイプだとも仰っておりました。
A太郎さん・紙入れ
新真打一番手はA太郎さん。
先日甥っ子さんが浅草に来ていたそうで、一番良かったのは「ボンボンのヒゲ」との事でした。
紙入れは、貸本屋の新吉が出入り先のおかみさんに誘惑され、旦那の留守中に迫られた矢先に旦那が…というお話。
さすがに女方が上手いA太郎さん。おかみさんは色っぽかったです。
「しんさん…そこのおじさん目を逸らさないで」と客席いじりも欠かせないのは流石ですね。
翌朝、青白い顔した新吉に対しおかみさんが
「紙入れは…しまってますしまってますしまってます!」と連呼するのは爆笑しました。
鯉八さん・おちよさん
鯉八さんの高座は3回目かな?
世界観が独特の方で、コアなファンが続出しております。
ただ、ナルシストというわけではなく熱い心の持ち主です。
崖から飛び降りようとした女性につくねが飛んでくるという、衝撃の幕開け。
女性はさながら2時間ドラマの主人公のようで、「主演:あたし、助演:つくね」という意味不明な挙動も(;’∀’)
つくねを投げた流れの板前さんに対し、「あんた、つくねの何なのさ」
これ面白かったなあ。元ネタを知ってると余計に笑いがこみ上げてきますね。
伸治さん・ちりとてちん
お世辞を言えないよりは、言えた方がいい。
「ヨイショの円鏡」と言われた後の橘家円蔵師匠は、お世辞で土地をもらった事があるそうで…
ちりとてちんは、お世辞が得意な男と、何でも知ったかぶりをする男の対比が面白いお話です。
初めに出てくるのはお世辞が得意な男でとても軽い!
伸治師匠のキャラクターもあるのでしょうが、軽さが際立っておりました。
その後知ったかぶりの”とらさん”が出てきます。
「残飯処理に呼んだの?」と言い切るのはなかなか強者ですね…
ただ、三週間放置した豆腐と唐辛子を合わせた「ちりとてちん」を知ってたと言うとらさんは…
伸衛門さん・竹の水仙
実は伸衛門さんだけ高座を聴いたことがなく、披露興行に行く時は主任の日と決めておりました。
伯山さんのマクラは8割5分本当で、ひじの角度がちょっと違うそうです。
そのため、伸治師匠の口上には胸が痛んだのだとか。
この旅籠「大杉屋」の主人は養子になって8年になるそうで、散々いじられておりました。
10日間5合の酒を飲んでいた客は、家賃を請求されたので1文も持っていない事を打ち明け、竹藪から水仙を作ります。
その水仙は大名細川越中守が購入しようとし、側用人が旅籠へ。
100両という値段を出した客でしたが、怒って帰ってしまいました。
しかし、仔細を聞いた越中守は激怒。500両で買ってこなければ…ともう一度使いに出します。
結局500両で売れた竹の水仙。
その際、泊っている客は名工・左甚五郎と聞いた旅籠の夫婦は甚五郎にこれまでの無礼を詫びるのでした。
全篇を通じて甚五郎のキャラがとても人懐っこく、江戸時代にこんな職人もいたのかなあとの思いを抱きました。通常職人は血の気が多く描かれますからね(;’∀’)
まとめ
長時間、そして人気の公演なので中々伺うことができませんでしたが、やっと行くことができました。
「成金」メンバーから5名、そして昇太師匠もご出演という豪華な番組で、十二分に満足して帰路に。
披露興行も折り返しを過ぎておりますので、残りの興業もお元気で頑張って下さいませ!
おまけ
終演後のA太郎さん。
写真撮影させて頂きありがとうございました!

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