板橋名人寄席11/14~人間国宝・講談師神田松鯉を祝う会

2020年11月14日
板橋区立文化会館で開催された「板橋名人寄席」に行って参りました。
ご当地板橋区在住で、2019年に人間国宝(重要無形文化財の各個認定の保持者・講談)に認定された神田松鯉先生を祝う会です。

演目

三遊亭兼好   桃太郎
古今亭菊之丞  棒鱈
三遊亭白鳥   座席なき戦い
~仲入り~
江戸太神楽社中 獅子舞
神田松鯉    赤穂義士外伝~天野屋利兵衛

前座:神田鯉花

兼好さん・桃太郎

まずは前座で一席!?
コロナ対策のため、楽屋の人数も少なくなっているのでしょうね…

おなかいりの掛け声を松鯉先生に褒められた事があるという兼好さん。
それ以来、だれも見ていない所でも努力するようになったそうです。
ただ、人格者の松鯉先生からなぜ伯山さんが?…とぼやいておりました。

桃太郎は父親が昔話の「桃太郎」を読んで寝かしつけようとしますが、
いちいち理論的な説明を求める息子が…というお話です。

むかーしむかし、あるところに…
「むかし」は鎌倉の先、あたみ時代!?

鬼が島で騒いでいる鬼が飲んでいる酒は「鬼ころし」
そりゃあ、飲みすぎて青鬼が顔真っ赤に、赤鬼が真っ青になるわけです。

菊之丞さん・棒鱈

菊之丞さんは松鯉先生の話を勉強をしに末広亭に行った事があるそうです。
ただ、出してもらった酒肴で酔っ払い、へべれけになり勉強どころではなかったとか。

初耳だったのですが、役者のような色白だったから「菊之丞」という名前になったそうです。
来年キャリア30年なので改名を考えているそうで、伯山襲名によってあいた名前「松之丞」を狙っているのだとか。

棒鱈は、料亭で酒を飲んでいた二人が隣の座敷で騒いでいる田舎侍と喧嘩になるお話です。
・赤べろべろのしょうゆ漬け→マグロの刺身
・えぼえぼ坊主のそっぱ漬け→タコの三杯酢
最初言われた時は、どう繋がるかが理解できませんでした(;’∀’)

訛りの田舎侍のよくわからない歌に不機嫌になった熊さんは、となりの座敷に乗り込み喧嘩になりましたが、止めに入った料理人がコショウを持っていて…

白鳥さん・座席なき戦い

兼好さん、菊之丞さんに「今日の趣旨が分かっていないのは白鳥さんだけ」と釘を刺されていたので、松鯉先生への祝辞を述べたら会場から拍手が。
「不安なオレを更に不安にさせないで!」という心の叫びが聞こえました。

松鯉先生とは初めてお会いするという白鳥さん。
まったく縁がないわけではなく、弟子である鯉栄さんに「任侠流山動物園」を稽古したことがあったので、感謝されたそうです。
とても腰が低い松鯉先生に驚いておりました。
それに比べてうちの協会の…とこちらもぼやきを。

座席なき戦いは、「まぐろのアタマ・山手線・5番アイアン」で作った三題噺です。

前日残業で遅くなったサラリーマン、翌日朝早くからこき使われたので山手線の電車内で寝ようと優先席に座ります。端っこにお年寄りが座っていたので反対の端っこに。
真ん中にはバイト明けの若いにーちゃんが、ウォークマンのカシャカシャ音をさせながら座ります。

そのうちにおばちゃん二人が入ってきました。
閉まりそうなドアを強引に開ける二人。
このおばちゃんと優先席を巡る戦いが始まります。

こんなおばちゃんいるよなあと思いながら楽しく拝聴。
まぐろの眼肉を持って「おい!鬼太郎」は大爆笑しました(´▽`)
5番アイアンは何にでも使えるようです。

仲入り
江戸太神楽社中

特別企画で、獅子舞を披露。

メンバーは、鏡味仙志郎さん・翁家勝丸さん・翁家和助さん・鏡味仙成さん・鏡味よし乃さんでした。

松鯉先生・天野屋利兵衛

現在女性率が高まっている講談界ですが、元々「軍談」から始まった男の芸。
今後生き残ったら希少価値が出ると仰っておりましたが…(;’∀’)

”冬は義士、夏はお化けで飯を食い”赤穂義士伝の季節になって参りました。

播州赤穂藩・浅野内匠頭が松の廊下での刃傷事件を起こし、切腹。
お家は断絶する事となりました。
朝の出入り商人、天野屋利兵衛は「城を枕に討ち入りする覚悟」と5歳になる倅を背中に背負い赤穂のお城へ駆けつけます。

「落ちぶれて、袖に涙のかかる時、人の心の奥ぞ知らるる」
まさかの友は真の友。城代家老、大石内蔵助は利兵衛に討ち入りのため、職人を呼び寄せ「忍びの道具」13種類を作成。江戸へ送ります。

職人にはお金を与えて口封じをしておりましたが、誰かが発見。
「怪しいものをこしらえている」というタレコミが、大坂東町奉行・松野河内守の耳に入ったので利兵衛の家宅捜索。
世の中の騒乱を起こす者に頼まれたのでは?と言う事で、利兵衛はお縄にかかる事となりました。

お白州にて、河内守の詰問を受けた利兵衛。
「義理あるお方に頼まれましたで、只今申し上げるわけにはいかないのです。どうかしばらくの間ご猶予をいただきとう存じます。時節到来の暁には必ず申し上げますから、しばらくの間ご猶予を願いとう存じます」

いくら調べても白状しない河内守は「痛め吟味」をする事となりました。
連日連夜痛め吟味をされた利兵衛。
さらに倅も痛めると聞かされた時、利兵衛の女房が「駆け込み訴え」

播州赤穂に出入りしていた事・城を枕に討ち入り…の話を聞きましたが、気がふれていると一蹴。
ただ、それ以降調べはなくなりました。

翌年1月9日、赤穂が討ち入り本懐を遂げた事を聞いた利兵衛は仔細を白状。
松野河内守は「浅野と吉良の喧嘩なら放っておいても大事はなかろう」と放っておいたのでした。
名奉行松野河内守の見事なお裁きと、痛め吟味に屈しなかった天野屋利兵衛の義理に胸が熱くなった一席でした。

まとめ

松鯉先生を祝う会ということで、前のお三方も先生に関するエピソードをご披露頂いておりました。
今日はいい顔付けでしたねえ。
白鳥さんの暴れっぷりは今日も見事でした。

松鯉先生の天野屋利兵衛は聴きたかったお話だったので、漸く聞くことができて大満足!

次回の板橋名人寄席は2021年7月3日
柳家喬太郎さん、当月庵白酒さん、桂宮治さん、春風亭朝枝(正太郎改め)さんです!

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