神田愛山独演会7/29~世界が変われば目線も変わる

2022年7月29日
神保町・らくごカフェに行って参りました。
当日の公演は『神田愛山独演会』

奇数月最終金曜日に開催されている愛山先生の会。
連続物+1席という構成で、前座なし・仲入りなしの約75分です。

演目

花川戸助六伝(三)助六と松鶴屋
骨の音

全演目、神田愛山先生口演

まとめ

『骨の音』を初めて聴いた2020年7月と世界情勢は大きく変わり
大規模な戦争が現実に起きてます。

当時は、『昔はこんなこともあったんだな~』くらいで考えてましたが
国家存亡・生死と隣り合わせになった現代だからこそ
このお話はとても刺さるのかなあと感じました。

「この話を今後も聴くのは義務」と仰ってましたが
これが愛山先生なりの反戦活動なのかなあと。

SNSの時代、さまざまな情報が溢れヒートアップしてしまいますが
そんな時はこの話を読んで自分を落ち着かせたいと思います。

助六と松鶴屋

低姿勢な松鶴屋が金の話になると態度が急変。
吉原で商売をするということは、それだけ大変なんでしょうねえ。
対する助六も、こんなんで負けてられるかといったところでしょうか。

 

おでん屋新兵衛から話を聞いた翌日、助六は吉原の松鶴屋へ。
揚巻について、新兵衛と松鶴屋、両方の言い分を聞かなければと
証文を見せてもらったが、五両の上に窮屈な『十』の文字が。

助六は、松鶴屋の言い分もわかるということで
『お願い』として、元金の15両で証文を返してもらいたいと提案するが
松鶴屋はもちろん拒否。

「新兵衛を助けるなら、どちらも助けていただきたい」
50両で引き下がらない松鶴屋と話が平行線になった助六は
お互い一晩考えましょうと、一旦引き下がることに。

翌日…
50両で証文を引き取ることにした助六だったが
松鶴屋は、助六と入れ違いに来訪した剣術の先生・鳥居新左衛門に100両で売ったと言う。

「では、鳥居が諦めたら100両を鳥居に返し、改めて50両で証文をもらうがよいか?」
「まあ鳥居さまが諦めたならいいでしょう」

こうして二人の会話は終わり、助六は鳥居の元へ向かうが
実は証文はまだ松鶴屋の手の中にあった。
松鶴屋は駕籠を使い鳥居の元へ100両で証文を売りに行くが…

骨の音

結城昌治先生が、昭和54年『小説現代』11月号で発表した短編小説。
『戦争』がテーマになってます(舞台は昭和54年)
怪談のようなお話ですが、よくよく考えると人情噺にも感じられます。

今回は、原作が収録されている短編集
怖い話(ミステリー)と短い話(ショート・ショート)』を読んでから臨みました。

本編は10ページほどの短いお話なのですが
めちゃくちゃ長い時間に感じられたのは愛山先生の腕のなせる業でしょうか。

淡々と当時の様子を語るマッサージ師
次第にうろたえ出す男
やがて、静かに追いつめ…
外堀を埋めて言い逃れできなくする様子は、背筋が凍りました。

本当に怖いのは、幽霊でもお化けでもなく
人間なのでしょうね…

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