2022年9月30日
神保町・らくごカフェに行って参りました。
当日の公演は『神田愛山独演会』
奇数月最終金曜日に開催されている
前講・仲入りなし2席の公演です。
演目
花川戸助六伝(四)助六と鳥居新左衛門
(菊池寛・原作)敵討母子連れ
いずれも神田愛山先生口演
まとめ
この公演で出囃子に使用されている「のっと」は
二代目山陽先生→現在は松鯉先生が使用されています。
元々は片しゃぎりと時太鼓で高座に上がっていたのですが
春風亭柳昇師匠から提案されて採用したそうです。
結城昌治先生から菊池寛さん。
歴史小説を講談にしたら愛山先生の右に出る者はいないですね。
完全に物語の中に入ってました。
先日コロナに感染された愛山先生、お元気そうで何よりでした。
花川戸助六伝(四)助六と鳥居新左衛門
演題の通り、助六と鳥居が対峙します。
道場主でもある鳥居新左衛門はこんなに弱かったのか!?
Σ(゚Д゚)
松鶴屋も悪党ではありますが、なかなか小賢しいですね。
揚巻の証文を100両で鳥居に売ってしまったと
吹っ掛けた松鶴屋は、その足で神田紺屋町・鳥居の道場へ。
鳥居は100両の話を快諾し証文を受け取ってしまう。
門弟を使いに出し、揚巻を乗せた駕籠を護衛させることに。
一方、助六陣営。
まずは子分二人が「っぴらごめんね!」を皮切りに口上を述べた後
助六が紺屋町の道場へ訪問。
交渉は決裂し、鳥居と門弟二人が助六に飛び掛かるが
助六は難なく返り討ちにしてしまった。
すっかり伸びてしまった鳥居は弟子から活を入れられるためボコボコに…
さらに吉原堤で揚巻を乗せた駕籠が
助六の子分にさらわれた事から
鳥居の浪士組・助六の黒手組との騒動へと発展していく…
敵討母子連れ
菊池寛さんが昭和11年に発表した短編小説です。
武士の体面にこだわるあまり、同輩の高木主馬に果し合いを挑み、斬殺された水戸藩士・浜村左兵衛。左兵衛の妻・貞は、元服した息子・竹之助を連れて敵討の旅へ出るが…。
http://geo.d51498.com/web_hon/02/kikuchi.htmより
心の優しい竹之助と、親切で慈愛に充ちた老武士との心の交流…。「一目会った時より、そなたが子か孫かのように、なつかしく存じた…」、「拙者とても、同様。父上か、伯父上かのように…」
この老武士は…というのはピンとくると思うのですが
単純な敵討ちではなく、結末にどんでん返しがありました。
「佐兵衛の敵討を!」と願う妻の貞と
釣りの友を斬れない竹之助。
狭間で揺れる心に出した答えが…
体面、体裁、名誉を重んじる『武士道』を
強烈に皮肉った名作ですね。
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