2021年11月5日
此花千鳥亭で開催された『講談ひるず(昼の部)』を現地鑑賞。
千鳥亭は2021年現在、日本で唯一の講釈場です。
ゲストが人間国宝・神田松鯉先生、告知を見た瞬間予約しました(笑)
昨年10月以来約1年ぶりの大阪遠征。
なお、本公演はZOOM映像のアーカイブが販売されてます。
11/19前後まで観られるようなので、ご興味があれば是非ご購入下さいませ!

演目
楽屋一同 トークコーナー
~仲入り~
旭堂南龍 荒大名の茶の湯
旭堂小南陵 碁石
神田松鯉 赤穂義士外伝・天野屋利兵衛
まとめ
初めての千鳥亭に感動していたのもつかの間。
小南陵さん・南龍さんに松鯉先生が並ぶ画が目の前に。
こちらも感動して泣きそうでした。
本牧亭が2011年9月に閉場してから約10年。
この時期に松鯉先生が講釈場に出演したことは、とても意義がありますし、これをきっかけに千鳥亭が更なる発展をしていくと信じています。
トークコーナー
松鯉先生のチャーミングかつ、重厚なお話・人生論までたくさんのお話を伺えました。
小南陵さん・南龍さんとは、披露目の口上に並んだご縁があるそうです。
・松鯉先生の言葉で連続講談を始めた。松鯉イズムが生きている
連続は講談のバックボーン、講談の隆盛につながる。
本来講談はこうであるというのを忘れてはいけない。
・講談で気を付けていること
講談にも『2-6-2の法則』がある。
『誰がやっても面白い、いいところが2割』
『努力すれば受け入れてもらえるのが6割』
『ダレ場が2割』
※松鯉先生の師匠である二代目神田山陽先生は、「ダレ場をしっかり聴いてもらう事こそが芸人の腕」と仰っていたそうです。
・昔からある連続物
今を生きているんだから、変えていってもいい(ただし骨子だけはしっかり)
松鯉先生も日々考え方は変わる。
・速記本について
時間があるだけ読んだ方がいい。
同じ話でも演者によって台詞がぜんぜん違うので、多角的な見方ができる。
・続き読みは一言一句叩き込むか?
骨子として残すのは筋と固有名詞
時代によって考え方も変わる、自分も成長する。
一言一句覚えた方が安心だが、セリフが飛んだ際のリスクもある。
・失敗をかくさない境地
隠したって仕方がない。ありのままで生きるのが気楽でいい。
飾っていてもいずれメッキがはがれる。
『素を磨く』
仲入り
南龍さん・荒大名の茶の湯
千利休から茶会に招かれた『豊臣七将』のドタバタを描いています。
馬鹿正直に細川忠興の真似をする加藤清正。
それにつられ、残りの五将も同じ格好をしている光景を想像すると…
至って真面目に行動しているのが更に爆笑を誘います。
『にじり口』を破壊する描写も面白かったなあ(笑)
南龍さんは、仲入りで高座から降りる際、足を踏み外した松鯉先生を抱きとめたので『命の恩人』と認定されたそうです(笑)
小南陵さん・碁石
四代目旭堂南陵先生の作品です。
小南陵さんはこのネタで、2015年に文化庁芸術祭新人賞を受賞されてます。
謎解き要素があり、解明された時には膝を打ちました。
新町の太夫(江戸でいう花魁)に入れ込んで店のお金を使いきり、借金までしてしまった呉服屋・伊丹屋佐兵衛。
遊郭の主人は借金500両のかたに娘のお絹を廓へ引っ張り込もうとするが、伊丹屋は拒否。
押問答になったので、碁石で棒引きの賭けをすることになった。
巾着に入った白黒二つの碁石から白を引けば勝ち。
二人は住吉大社の太鼓橋で対決。
巾着の中にある二つの碁石に異変を感じたお絹は…
松鯉先生・天野屋利兵衛
300席ある義士伝のうち、松鯉先生は80席を持っているそうです。
そういえば天野屋利兵衛は、ご当地・大阪のお話でしたね。
町人でありながら武士の魂を持ち、拷問されて虫の息になっても仁義を守る。
そして、実の倅が危険にさらされても筋を通す利兵衛。
「世の中に騒乱を起こす様子ではない。吉良と浅野の喧嘩」
浅野の家臣に本懐を遂げさせるため、あえて見て見ぬふりをした、大阪東町奉行・松野河内守。
どちらも見事な漢でした。
松鯉先生の義士伝を近い距離で聴ける。
とても贅沢な空間を体験させていただきました!
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