2021年1月31日
お江戸上野広小路亭・日本講談協会定席へ行って参りました。
毎月二日連続で開催される講談定席、主任は基本的にネタ出しです。
昨年ご入門された紅希(こうき)さんの高座も観る事ができました。
演目
神田紅希 幼き日の家光と信綱
神田松麻呂 寛永宮本武蔵伝~熱湯風呂
神田桜子 ときめき★注意報~転校生のアイツ
神田紅純 煙草屋喜八~多胡の伊兵衛
神田山吹 奴の小万
神田昌味 鬼面山谷五郎
神田陽子 徂徠豆腐
~仲入り~
神田紫 もったいない善兵衛
神田紅 日本号と母里太兵衛~黒田節の由来
桜子さん・ときめき注意報~転校生のアイツ
先日の連雀亭きゃたぴら寄席で「八百屋お七」を読まれましたが、
実際はこちらを読もうとしていたのかな?
師匠の陽子先生にも匙を投げられたという新作講談です(笑)
内容は、少女漫画によくある展開。
遅刻しそうになった女の子が食パンをくわえて家を出たところ、美少年とぶつかる。
そしてその美少年は転校生だった。
転校生は空いている隣の席に座ります。
空いている席って普通ある?という桜子さんのツッコミが(;’∀’)
次回予告もありましたが、第二話は未完成との事でした。
ベタなネタですが、嫌いじゃないですね。
紅純さん・煙草屋喜八~多胡の伊兵衛
煙草屋喜八六話目。
五話目が抜けているので、ちょっと朧気でした。
お金に困窮した喜八は「若旦那のため」、質屋へ盗人家業を働こうとします。
夜、足場から屋根に上ったところ先客?が。
多胡の伊兵衛という義賊でした。
伊兵衛は、強盗・強姦・人殺しはしないという盗人。
盗んだお金は貧しい人に与えているとの事。
鬼平なら見逃されそうですね(;’∀’)
事情を聞いた伊兵衛は喜八にお金を渡し帰ろうとしますが…
山吹さん・奴の小万
女中「おでん」
三好屋四郎衛門の身内「蟒蛇のお禄」
どちらも迫力がありました!
「小町娘の鬼娘」おはんは一度ならず者を退治しているので
このような呼ばれ方をされていました。
おはんの母親、おせいがお禄に「どちらの関取かは存じませぬが…」
というくだりは毎回笑ってしまいます。
三好屋四郎衛門、阿波座烏の音松。
先日愛山先生の独演会「双蝶々廓日記」でも聞いた名前が出てきました。
時代がかぶっているのかな?
昌味さん・鬼面山谷五郎
第13代横綱・鬼面山谷五郎
江戸時代末期から明治にかけて活躍した関取です。
美濃・鷲巣村で農家を営む家に生まれた幼名「石松」
奉公に出たのですが、大食漢ゆえどこからも暇を出されてしまいます。
ある時、江戸尾張町の大店の番頭・清兵衛と出会った石松。
船頭が二人がかりで荷揚げをした荷物を宿まで軽々と運んでしまいました。
その宿でお礼に食事をごちそうになる石松。
お鉢ごと届けられましたが、見る見るうちに空っぽになりお替わり。
すると、宿主が正装でやってきました。
宿主は「先代の遺言で、お鉢のお代わりをするような人がいたら十分に振舞うように」との事で、取り持ちは宿の方ですることになり、石松はたらいのようなお鉢に入ったご飯をたらふく食べるのでした。
涙を流しながら喜んだ石松はここから番頭清兵衛と江戸へ。
奉公の後、相撲界へ入り出世する事となります。
陽子さん・徂徠豆腐
日本講談協会では、現在男の講釈師は絶滅危惧種。
陽子先生が入門当時は「女に伝統ができるか!」と言われていたそうですが、
言い放った先生も後に女性の弟子をとっていたそうで…
この日も陽子先生のぼやきは絶好調でした!
まずダイジェスト的に三分でまとめてご披露。
尺の長さは自在にできるそうです。
なんかこれだけでも聴いた気分になるな…
編集のクオリティの高さはさすがでした。
「情けは人のためならず」
困窮していた徂徠に毎日おからを届けた豆腐屋、上総屋七兵衛に恩返しをする物語です。
「握り飯は好きだが…断る!」
自分の持っている高い専門書を売らない。
強情な徂徠を気に入った七兵衛の献身的な姿に感動しました。
籔医者が首をかしげる様子。
火事の際、半鐘の遠近表現。
そして、干物になったであろう徂徠を「神田紫さん!」と表現した場面に爆笑しました。
仲入り
紫さん・もったいない善兵衛
三食しっかり食べてもこの有様…との事。
体形が変わらないので、たくさん着物を頂けるのだとか。
こちらのネタは”もったいない運動”に賛同された紫先生の創作講談です。
江戸時代はリサイクルの社会だったとも言えますね。
新宿の小間物屋「よしや」へ奉公した善兵衛。
彼は物を大切にし、店の経費を削減しているのでとんとん拍子に番頭まで出世。
そして、店主の娘・おせいと夫婦になり、後継ぎとなりました。
善兵衛夫婦は利益度外視で商売。
物を大切にするため、よしやの小間物屋としてのブランド価値はさらに高まったそうです。
紅さん・黒田節の由来
「酒は飲め飲め飲むならば 日の本一のこの槍を 飲み取る程に飲むならば これぞまことの黒田武士」(黒田節の一節)
紅先生ご出身・福岡の武将。
黒田八虎の一人、母里太兵衛が福島正則から名槍「日本号」を飲み取るお話です。
母里太兵衛といえば、2014年放送の大河ドラマ「軍師官兵衛」の速水もこみちさんですか。
栗山善助役の浜田岳さん同様、強烈に印象が残ってます。
福島正則へ口上を申し述べに行った太兵衛は、お酒が入ったいた正則と言い争いに。
下戸な太兵衛に、酒を強要する事となります。
「身命投げうってお相手仕る!」という太兵衛は七合五勺を4杯飲み干し、舞を披露。
秀吉から賜ったという日本号を手中に収めるのでした。
「無理を承知で戦ってこそ、真の勇士・豪傑」
正則も言い切ったからには引っ込めなかったんですね(;’∀’)
日本号はこの後に後藤又兵衛へ渡ったそうで、その物語も今後創作したいと仰っておりました。
見栄を切ったら、「くれない!」と声をかける。と…( ..)φ
まとめ
紅・紫・陽子の三名がが揃うのは久しぶりだったそうです。
いずれも二代目山陽門下。山陽先生のお話をしていたとの事。
どんなお話をされていたのでしょうか。
また、日本講談協会会長でもある紅先生は「みんなで伯山さんにしがみついていきたい」と今年の意気込みを語っておられました(笑)
おまけ
終演後に紅会長を撮影させていただきました。
ご快諾ありがとうございます!

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