歌舞伎鑑賞教室『人情噺文七元結』6/19~初めての歌舞伎鑑賞

2021年6月19日
国立劇場で開催された『歌舞伎鑑賞教室』を現地鑑賞。

歌舞伎は初体験なので、解説がある方が観やすいだろうなあと探していました。
今回は落語の演目でもある『文七元結』の公演で、これなら入りやすいと考え伺ってきました。

概要

『人情噺文七元結』は、幕末から明治時代にかけて活躍した落語家・三遊亭円朝の人情噺(人間の情愛を中心に描いた落語)を脚色した歌舞伎作品で、明治三十五年(1902年)十月に歌舞伎座で初演されました。

初演では、明治期を代表する名優・五代目尾上菊五郎が左官の長兵衛を演じました。菊五郎はリアリティを追求するため、原作の落語から場面設定を変更したり、実際の左官の仕事ぶりを研究して演技に取り入れたりするなど、様々な工夫を凝らしました。その演出は息子の六代目菊五郎によってさらに練り上げられ、現在まで受け継がれています。

江戸時代の庶民の生活を写実的に描いた「世話物」に分類される演目ですが、落語の語り口を活かした小粋でテンポの良い台詞やのやりとりが、独特の味わいを生んでいます。

頒布資料より

まとめ

節々に笑いどころがあり楽しい公演。
笑いだけでなく、締めるところはしっかり締める。
「人の命は金じゃかえねぇ」と言う長兵衛の台詞がとても印象に残りました。

落語は一人で複数人を演じますが、歌舞伎では一人が舞台に複数の役で同時にいる、ということはありません。そのため、複数の役者が同時に喋る画ができるので、新鮮な気持ちで鑑賞。
『黒御簾音楽』と呼ばれる下座から流れる音楽は、上方落語の『はめもの』に似てるなあと感じました。

また、二幕四場で『起承転結』がはっきりしており、物語の展開がシンプルでした。
筋は頭に入っていましたが、これなら初めての方でも楽しめたのではないかと思います。

同じお話でも、『落語』『講談』『歌舞伎』『能』『文楽』など多角的に見ると、違った見方ができるようになる…かもしれません(笑)
2021年下期は、演芸からの伝統芸能鑑賞をテーマに行動していきたいと考えてます。

あらすじ

左官職人の長兵衛は妻のお兼と貧しい長屋暮らし。
長兵衛は腕のいい職人だったが、大酒のみで賭け事好き。
仕事そっちのけで賭け事に興じてしまうので夫婦喧嘩が絶えない。

年の暮れが迫ったある日。
家に帰って来た長兵衛にお兼は「娘のお久がいない」と言う。
二人で探しに行こうとした矢先、吉原の大店「角海老」の使用人藤助(とうすけ)が訪ねてくる。

お久は両親の喧嘩が絶えないことを悲しみ、自分が働いてお金を稼ぐので家族仲良く暮らしてほしいと願い身売りをしに来たのだった。

娘の心を知った長兵衛は、自らを恥じ心を入れ替えて働くことを誓う。
角海老の女将お駒は翌年三月までは、店でお久を預かると約束し五十両を長兵衛に貸す。
その帰り道、隅田川のほとりで身投げをしようとしている若者を見た長兵衛は…

コメント

タイトルとURLをコピーしました