2021年7月17日
神田連雀亭昼席『講談きゃたぴら』を現地鑑賞。
会場は早々に満席、ご出演がこのお三方なら頷けます。
冷房は運転してますが、感染症対策により窓を開放。
演者の皆さんは灼熱の暑さの中、文字通り『熱演』でした。
演目
田辺いちか 羽子板娘(安政三組盃)
神田桜子 テルモピュライの戦い(スパルタ戦記)
神田紅純 咲次郎の笛

まとめ
本日は三席とも初めて聴く演目でした。
日本史だけでなく、世界史まで学べる講談。奥が深いですね。
『安政三組盃』聴いてみたかったのですがなかなか当たらず、半ばあきらめかけていたので今回聴けてよかったです。連続読みやってくれないかなー、と淡い期待を持ちながら会場を後にしました。
いちかさん・羽子板娘
羽子板娘は『安政三組盃』序開きのお話です。
終盤の啖呵はお見事でした。
竹を割ったような性格の江戸っ子娘と、鍋の白滝のように味気がない大名。
張扇を一回叩くと一年が経過する…( ..)φ(笑)
羽子板に描かれている江戸の町娘『お染』に恋をした秋田藩の大名『佐竹右京太夫』が、三年の約束で本人を側仕えに迎えた。
しかし三年経っても帰郷の話が出ない上に、佐竹の奥方の前で清元を唄わせられ、お酒を三合・五合・七合飲み干してしまった。
お染の父・津之国屋宗兵衛より、酒癖が悪いと言われていたにもかかわらず飲ませてしまった佐竹。
そして、三年間のストレスが溜まっていたお染は酒の力も相まって…
桜子さん・テルモピュライの戦い
「夏なので、暑苦しいお話を」ということで、こちらになりました(笑)
春風亭昇輔さん原案・桜子さん作の新作講談です。
スパルタは、『スパルタ教育』の語源になっている軍国主義の都市国家で、虚弱が認められた新生児は遺棄されていたそうです。
小説『銀河英雄伝説』の銀河帝国に存在した『劣悪遺伝子排除法』に似てますね。
スパルタ軍は後に、『プラタイアの戦い』で歴史的大勝利を収めることになるのですが、このテルモピュライの戦いでは参加した約700名は全員玉砕。
指揮官として参加していたスパルタ王『レオニダス1世』もここで戦死しました。
戦い終盤、ペルシア軍から投降を呼びかけられた際、レオニダス1世が答えた有名な言葉に「モローン・ラベ(来たりて取れ)」があります
紅純さん・咲次郎の笛
幕末から明治期に活躍した講釈師、放牛舎桃林(ほうぎゅうしゃとうりん)作『勘当の名笛』の改題。
七代目市川団十郎の父・森田咲次郎の物語です。
「不器用は、名人になる」
不器用という一点で勘当された咲次郎の目覚ましい上達。
その様子を知った、父・庄兵衛の喜びようが心地いいお話でした。
能役者笛方『森田庄兵衛』の子、咲次郎は不器用ゆえ父から勘当された。
懇意にしている寺院で修行する咲次郎。昼は本を読み、夜は浜辺で修行する生活。
風や波という自然を相手に修行した咲次郎は一年後、見事な腕前になっていた。
ある日、噂を聞いた父庄兵衛が様子を見に行ったところ、ほれぼれするような音色を出す咲次郎を目撃。庄兵衛は自分から勘当したため、笛仲間である一噌又六郎(いっそうまたろくろう)に仲裁をしてもらい勘当を解くのであった。
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