2021年7月9日
『新宿末広亭夜の部』を現地鑑賞。
7月上席(7/1~7/10)は、毎年恒例・神田松鯉先生主任の怪談興行です。
昨年は新型コロナの影響で見送り。二年ぶりに参加してきました。
演目
春風亭かけ橋 ぞろぞろ
春風亭弁橋 寿限無
カントリーズ 漫才
三遊亭竜楽 親子酒
古今亭今輔 札-1グランプリ
小泉ポロン 奇術
神田阿久鯉 屏風の蘇生
三遊亭円雀 勘定板
桧山うめ吉 俗曲
神田伯山 安兵衛駆けつけ~婿入り(赤穂義士銘々伝)
~仲入り~
宮田陽・昇 漫才
玉川太福 湯船の二人(地べたの二人)
三遊亭遊雀 看板の一
翁屋喜楽・喜乃 太神楽
神田松鯉 番町皿屋敷

末広亭の怪談について
当席、夏の怪談噺は長年行われている。松鯉の師匠の二代目神田山陽の立体怪談。
配布のパンフレットより
昭和30~40年代は七代目一龍齋貞山の道具仕掛けの怪談噺、貞山は”お化けの貞山”といわれた。
まとめ
講談・浪曲・漫才・そして江戸落語と、まさに『寄席』という番組でとても楽しかったです。
特に伯山さん以降の盛り上がりがすさまじかったです。
そして、松鯉先生がトリだと締まりますね。
四話芸、勢いのある方々が顔付けされて木戸銭が3000円。
コストパフォーマンスは最高にいい公演だったと思います。
弁橋さん・寿限無
いま話題になっている、米津玄師さんの『死神に』触れてました。
ここ末広亭が舞台ですからね。
ミュージックビデオのラストのように、挙動不審なサラリーマンが舞台に上がってくると、実際は前座さんにつまみ出されるのでしょうか(笑)
カントリーズさん・漫才
初見の漫才師さんです。
「ここ公園か!?」が印象的でした。
とても面白かったので、また観たいですね。
竜楽さん・親子酒
『和菓子youtuber』としても活動されているそうです。
まったく存じ上げずに申し訳ありませんでした…(;’∀’)
URLは↓です。
今輔さん・札-1グランプリ
『さつ-わんぐらんぷり』と読みます。
次代のお札の肖像画を決めるというお話。
オーディションを勝ち抜いた、歴史上の人物三名が財務大臣に採用をプレゼン?
太宰治は、特技が心中(;’∀’)
坂本龍馬は、武田鉄矢さんのキャラ。
織田信長は、デーモン小暮閣下のキャラでした。
どうやら財務大臣は『歴女』が嫌いなようで…
阿久鯉さん・屏風の蘇生
この演目は初めて聴きました。
「英一蝶干物便り(浅妻船)」という演目の前半部分にあたるそうです。
紀伊国屋文左衛門、宝井其角、佐々木文山、そして多賀朝湖(後の英一蝶)
そうそうたる顔ぶれが集まっている事がわかりますね。
酔っぱらっているところに墨入れを依頼してはいけないということで…(;’∀’)
円雀さん・勘定板
下ネタなので配信ではまず聴けない勘定板。
江戸時代は、もちろんテレビなどなかったので方言を理解することが難しかったのでしょうね…
言葉の定義づけをしておかないと行き違いが発生するのも無理ありません(;’∀’)
怪談興行ということもあってか、講談の前座さんが多く配置されているようで、このままだと神田派の講談師が溢れる事を危惧している円雀さんでした(笑)
伯山さん・安兵衛駆けつけ~婿入り
伯山さんの高座は昨年の芸協披露興行以来。
安兵衛のお話は、以前坂本頼光さんの活動写真『血煙高田の馬場』を見てました。
講談も是非聴いてみたかったので、今回拝聴できてよかったです。
前半・高田馬場にて叔父の菅野六郎右衛門の仇を討つシリアスな場面。
後半・堀部弥兵衛にその模様を説明する、後に安兵衛の妻になる『はな』との丁々発止のやりとりは、落語を聴いているような感覚でとても面白かったです。
はなは、講釈師のように「〇〇ですが…」と話を伸ばそうとして持っていぶってましたが、安兵衛の名前と住所の話になると絶句する様子にも大爆笑しました。
堀部弥兵衛が狂言回しのような役割になっているのもよかったです。
伯山さん曰く「かなり長いネタ」らしいですが、20分にまとめたのはさすがの一言。
仲入り
宮田陽・昇さん・漫才
相変わらず面白いお二方ですね。
今回は、「保険入ってくれない?」しか印象に残ってないです(笑)
太福さん・湯船の二人
後輩のサイトウさんと一緒に銭湯に行きたいカナイさんの駆け引き(笑)。
「お供しても、可能か?可能?」「じゃあ、可能で」この掛け合いには笑いが止まりませんでした。
ボクサーブリーフは、イオンにある…なるほど( ..)φ
男二人で銭湯に入ったら、背中を流し合うものなのでしょうか。
サイトウさんの、一歩間違えればパワハラになる行為が面白かったです。
遊雀さん・看板の一
寄席では一番後ろの席に座る事が多いです。
後ろから見ても遊雀師匠のまゆ毛の動きがよくわかるんですよね。
高座までの距離を感じないと言うか、そんな感覚です。
大きな動きがない。
いわゆる、『顔芸』で話を成立させられる数少ない演者だと思います。
松鯉先生・番町皿屋敷
「はて,おそろしき執念じゃなあ」
クライマックスは鳴り物入りで、照明が落ちるタイミングも完璧!
松鯉先生お得意の、懐中電灯を下から入れる演出。
相川忠太夫が事切れるのに合わせ電灯が点滅し消えていく様子は身震いしました。
木造建築の末広亭での怪談は雰囲気ありますね。
『お菊』の運命はとても悲惨なものですね…
青山主膳に助命され女中になりましたが、それは慰み者にされるためだったのでしょうか。
そして相川忠太夫。お菊を口説くために主膳を裏切ろうとしましたが、本当のところはどう考えていたのでしょうか。
『冬は義士、夏はお化けで飯を食い。春と秋とは食いっぱぐれて』
松鯉先生は若い時分、二代目神田山陽先生と年間120回の怪談公演をこなしており、キャバレーで『幽太』(幽霊の役・前座さんが担当)をされた際、女の子を守る男性客から水をかけられたり傘で叩かれた事もあったとか。
『中央線の怪談』
電車の照明が消えて動きがゆっくりになり、車掌室で人がうごめいている。
様子を見られた車掌が言い放った一言とは…!?
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