末広亭夜の部11/23~年末の義士伝①

2021年11月23日
新宿末広亭夜の部を現地鑑賞。

11月下席(11/21~11/30)は人間国宝・神田松鯉先生の義士伝興行です。
全日程ネタ出しにて行われてます。

演目

神田鯉花       寛永宮本武蔵伝・灘島の決闘
雷門音助       たらちね
宮田陽・昇      漫才
桂三四郎       過去のないワイン
神田阿久鯉      難波戦記・長門守木村重成の嫁取り
ねづっち       漫談
三遊亭遊吉      紀州
立川談幸       短命
東京ボーイズ     歌謡漫談
神田伯山       天保水滸伝・ボロ忠売り出し

~仲入り

ザ・ニュースペーパー 社会風刺コント
(浜田太一・石坂タケシ)
桂伸衛門       マスクの女・踊り『奴さん』
柳亭小痴楽      蔵前駕籠
ボンボンブラザース  曲芸
神田松鯉       赤穂義士本伝・大石東下り

まとめ

今回も、前座さん含め講談が四席!
宮本武蔵・難波戦記・天保水滸伝・赤穂義士伝と、すべて連続物からの一席。
一席聴くと、全話聴きたくなってしまいますね。

中でも松鯉先生の義士伝は圧巻!
「義士伝の中でも、本伝は堅くてあまり面白くない」とのことでしたが、だからこそ先生の重厚な語り口が際立っていたのかなあと思いました。

三四郎さん・過去のないワイン

三四郎さん果敢に攻めましたね~。
天王寺ではなく、天王洲の倉庫で起きるワインたちの会話。
頭がコルクではなくキャップのワインは安いようで。

個性的なワインのキャラクターの数々が面白かったです。
キャラ分けは擬人化の落語では重要な要素ですね(笑)

「満員の客席。全員マスクだと野犬に囲まれているようですね」
表現が秀逸でした。

阿久鯉さん・長門守木村重成の嫁取り

『木村重成の最期』前半部分です。
阿久鯉さんはこのネタをよく読むイメージですが、得意ネタなのかな?

重成公のお墓は少し丸くなっているそうです。
削って飲むと「勇気が出て勝負ごとに勝てる」という言い伝えがあるとか。
実際にやってたのは博打打ちが多かったようですが…(;’∀’)

ねづっちさん・漫談

「赤穂義士とかけまして、常勝チームと解くその心は、しょうりはお手の物」
お見事でした。今回も整ってますね!

遊吉さん・紀州

「とんてんかーん」「てんかとーる、てんかとーる」
紀州自体、久しぶりに聴いた気がします。

談幸さん・短命

談幸師匠のネタの中で一番好きなネタが短命です。
まくらからぞくぞくしてました(笑)

「な?」「ええ、ええ」「だろ?」「さっぱりわかりません」
このやり取り、いいですねえ。

一番好きな場面は、おかみさんにご飯をよそってもらうところでしょうか。
おひつからお椀でご飯をすくうのは、思い出しただけでも笑ってしまいます。

伯山さん・ボロ忠売り出し

序盤は「おやぶーん」と言っている『三下』の忠吉。
クライマックスでは立派な侠客に見えてしまうのは、伯山さんの技なんでしょうねえ。

信夫の常吉の前で暴れ回る忠吉は、ちょっとかわいかったです。
うまい具合に忠吉を転がしながら睨みを聴かせている常吉。
さすがは大親分といったところでしょうか。

神田派は侠客がお家芸。一龍齋は義士伝がお家芸。
一龍齋が侠客をあまりやらないのは、『芸が汚くなる』から!?(笑)

仲入り

伸衛門さん・マスクの女

ご自身作の新作落語です。
ご時世あるあるで共感できる内容。
マスクの中を存じ上げない方も増えてきましたね。

実際にマスクを取った顔で、がっかりしたり・されたりするのでしょうか(;’∀’)

小痴楽さん・蔵前駕籠

乗客と駕籠屋の押し問答に爆笑しました。
「ちょいとやっつくんねえ」「だめ~?」「おうっ?」

威勢のいい若手が出て来ましたが、運ぶのは追剥が出るところまでなんですね。
置いていった駕籠は最終的にどうなったのでしょうか(笑)

松鯉先生・大石東下り

『武士の情け』
クライマックスの垣見佐内・大石内蔵助の対峙はとても見応えがありました。
奉書に書かれた『行年四十五歳』に、内蔵助の覚悟を知った垣見は、自らが偽物と名乗り大石を通す。

「垣見殿、かたじけのうござる」「内蔵助殿、ご武運を」
言葉には出せませんが、この時の佐内・内蔵助の胸中は察するに余りあるなあと感じました。

松鯉先生の重厚で人情溢れる高座。
今回も堪能させていただきました!

赤穂義士伝にも夏の話・怪談にも冬の話が当然あります。
そういったネタは、特に季節でなくても読むそうです。
松鯉先生も義士伝を夏場に読むこともあるとのこと。
いつか聴いてみたいなあ。

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